大きくなる会社の必要条件は「会社を自分のものにしないこと」

・2011-10-02

tag : お仕事 /経営 /

経常利益率35%超を37年続ける 町工場強さの理由経常利益率35%超を37年続ける 町工場強さの理由
(2008/03/20)
梅原 勝彦

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 タイトルに惹かれて買ってみました。普通に考えても経常利益率35%って尋常じゃないですからね。本の中にもありましたが、経常利益率35%、販管費率15%だそうで、売上総利益率50%とかどんな製造業?って感じがします。

 本書に書かれている経常利益率のヒミツとは、「価格競争力」と「徹底的なコストカット」。言っていることはシンプルですが、なかなか実践の難しいことです。特に、当期の利益、将来不況時に耐えるための利益のために、設備投資・人材育成費をすべてまかなえるだけの価格で販売するのは中小企業にとって巻単位できることじゃない。どうしても目先の売上・利益のために価格を下げてしまう、下げざるを得ない状況にあります。でも価格を下げたら最後、価格の引き上げはほぼ不可能で、負のスパイラルに陥ってしまう。

 でも、価格の引き下げをしなければ生き残れるなんて甘いことを言ってるわけではないでしょうし。エーワン精密は価格を下げないでも受注が取れる強みを持っている。それがヒミツの本質だと思います。そして、「会社は利益にこだわりなさい」と。

 製造業に限らず、農業でも会計事務所でも、価値・能力があるのにそれを安売りしてしまうってアホらしいです。でもやってしまう。「余暇の楽しみの一環だから…」「友人だから…」そんふうな理由で。

大きくなる起業の特徴

 エーワン精密に限ったことではないのですが、本書を読んでいて改めて思ったのは、「大きくなる会社は社内にオープンだ」ということです。

 中小零細企業の場合、社員は社長も含めて数名で、営業も経理も社長がやっていて、たまに事務員さんがいたとしても、請求書発行や資料整理にとどまっているというのが多いです。社長が会社の全部を管理しているといっていいかと思います。

 確かに出資金は社長の自腹ですし、それを他人に管理させるのは怖いところもありますが、それによって「会社は自分のもの」という意識が強くなってしまうのは事業会社としては問題なことだと思います。「自分の会社」となってしまうと、財務の方針として「社長(一族)と会社合わせて資金を留保する」ことになっていきます。

 資金が手元に残せないのなら事業をやっている意味がないので、会計事務所も「資金は社長借入で確保できれば十分」「そのためには社長と会社と併せた資金確保が大事」とそれを薦めていますが、私にはやりすぎな感が否めません。

 社長資金も一緒の資金留保を考えた場合、税金圧縮のために社長の役員報酬決定で利益圧縮を図る/利益確保を図る、社長の個人資金は混在するけれど、もしもの資金は社長が出す...。一応筋は通っています。

 しかし、社長と会社資金を一緒に捉えて資金留保を図るのと、社長と会社を切り分けて事業計画中で資金留保を考えるのという財務方針は、考え方のスタート地点がまったく別で、相容れるものでは無いと感じます。社長と会社資金を一緒に捉えて資金留保を図るままでは、将来の設備投資留保や従業員分配という事業部分の計画が作られないまま、「出たとこ勝負」の経営が続くことになってしまいます。「出たとこ勝負の経営」では利益が出る価格設定、特に将来を見越した価格設定はできないのは自明でしょう。

 また、会社は社長(一族)のものという意識が根底にあると、先のように社長資金の留保が優先されて利益の社員還元が少なくなるように思います。利益の社員分配としては決算の数字を見て、決算賞与を決めるというのがよくあるやり方です。余裕があれば従業員に配分しますね、といった感じです。

 エーワン精密の場合、毎月の利益からもらえることになる賞与額がはじき出され、給与明細に記載されるそうです。事業計画の中で従業員への分配もしっかり考えられているからできることですが、これだと従業員もがんばれて会社も大きくなりますよね。

 「出たとこ勝負」それでも利益が残るなんて、よほどの優良事業をつかまないといけないじゃない。「でもそれが中小零細企業(キリッ」なんて、そんなんでいい訳ないと思うのだ。それに、会社経費に社長個人経費が混じってて会社の財務を従業員に公表できないとか、従業員が会社や社長を信用できなくなるだけじゃない。って。

 もちろん、資産管理会社とかの事業会社じゃない節税会社には当てはまりませんけどねー。

最近のエーワン精密の状況は・・・

 ところで、最近のエーワンもベラボーな経常利益率で来ているんでしょうか。上場もしているとのことなので、有価証券報告書から主要な数値を拾ってきました。原典はEDINETです。

  H20.6   H21.6   H22.6   H23.6  
売上高 2,186   1,483   1518   1,808  
売上総利益 1,114 51% 591 40% 590 39% 777 43%
営業利益 794 36% 324 22% 322 21% 492 27%
経常利益 822 38% 345 23% 342 23% 515 28%

 あれ?最近は利益率下がってるんですね。確かにリーマンショックやらなにやらで、今年も日経平均ガタガタですからねぇ、そのせいでしょうか(著者さんの退任に合わせて利益率低下してるのは気のせい?)。もうちょっと有価証券報告書を読み込んだら理由も書いてある気がします。後で読んでみよう。

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